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August 22, 2006

わたしを離さないで

わたしを離さないでわたしを離さないで
カズオ イシグロ

早川書房 2006-04-22
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おすすめ平均

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内容(「BOOK」データベースより) 自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々がたどった数奇で皮肉な運命に…。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく―英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』に比肩すると評されたイシグロ文学の最高到達点。アレックス賞受賞作。

Mlle.Cさん@Le Journal de La Princesse frivoleや、
あさこさん@コウカイニッシの所で拝見して以来きになっていたこの作品。
やっと読むことができました!

読了後、呆然としています。傑作でした。
あらゆるもののメタファーとして物語が存在しています。
繊細な感受性が水のようであり、雲母のようでもあり、
変容していくその様が痛く心に突き刺さり、
丁寧な言葉、描写の妙に完全にうちのめされました。

私は、長い間、本は単行本で買うべきと思い続けてきました。
なぜならば、よりきちんと作者への感謝の意を還元できるからと思ってきたから。
ところが、近年では、その本の重みを感じられないものがあまりに多くて。。。
これは、私自身が変わってきたということも多々あるのかもしれないのですが。
嫌いではないのですが、映画みたいな小説。漫画みたいな小説であって、
小説でしか表現できない世界観ではないような気がして仕方ないのです。

もちろん、この作品は、そういった類の小説ではありません。
むしろ、これ以上の代価を支払ってでもよいようにも思います。
この作品には、まさに、生きた言霊があります。
イシグロ氏自身は、小説を書く時は、かなり抑制的で想像力をはばたかせる
タイプではなく、慎重に集中しつつ探求していくやり方でページをうめていくと
おっしゃっています。
そうやって産まれた抑制された言葉こそが、読み手にとって血肉となり、
意気揚々と脳内をかけめぐり、想像の翼を広げさせてくれるのだと感じました。
多くは語りません。
これから読まれる方は、作品情報をいれずに読まれる事を強くオススメします。
その方が、この作品の良さをより際立たせるからです。

*******
小説に登場する"ジュディブリッジウォーター"は架空の歌手で、
原題" Never Let Me Go"は彼が村上春樹氏から貰ったJazzのCDアルバムの
スタンダードナンバーから付けられたそうです。
ナット・キングコール、マイルス、マルサリス、ビルエヴァンス・・・
いろいろな人がプレイされてるみたいなのですが、どのテイクがよいのだろう?
この場合、女性ヴォーカルなので、ダイナ・ワシントンのテイクが固いのかな?

Swingin' Miss 'D'Swingin' Miss 'D'
Dinah Washington

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でも、視聴したら、ちょっと印象が違う。。。
ビル・エヴァンスのテイクのが好みかも。勝手ですが…

Quiet Now: Never Let Me GoQuiet Now: Never Let Me Go
Bill Evans

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どなたかお詳しい方いらしたら、アドバイスをお願いいたします。

*******
コチラ↓↓↓ も、本作品を読まれてから読まれることをオススメします。
※カズオ・イシグロ・インタビュー記事

Posted by li-cafe at August 22, 2006 12:53 PM | TrackBack
Comments

●ワルツさん
わーーーー!!!
ワルツさんと、いったりきたり〜ですね♪
おはようございます!

>世界はいつもどこかしら歪んでいて、その歪みの中でも同じ様に生き続けるモノたちの、静かな慟哭

本当に、繊細でいて、やさしく激しい青い炎のような。
または、音楽のような小説だと思いました。
言葉でも詩でもないのに、小説で、こんな風に感性に働きかけてくるってすごい!と、今改めて思い出して、感動してます。
ワルツさんと、この想い、共有できて嬉しいです。

今年度、ベスト1かな。

Posted by: pico at September 30, 2006 11:57 AM

picoさん、やっと読めました。
まだこの小説の世界に漂ってます。
読む前に情報を余り仕入れないようにというpicoさんの忠告は、ホントにその通りでした。私も守ってよかったです。(感謝)
世界はいつもどこかしら歪んでいて、その歪みの中でも同じ様に生き続けるモノたちの、静かな慟哭を、文章の中から感じました。
>生きた言霊
まさにそうですね。

Posted by: ワルツ at September 30, 2006 11:44 AM

●LINさん
おはようございます!!!

SFといっても、SFという枠にいれるのには、勿体ないような物語でした。
相変わらずの、カズオイシグロの緻密さが、とてもよく響く物語です。
LINさんには、是非是非、読んでいただきたいです。
LINさんの感想、楽しみにしてますね。

>「こんな本、単行本にする価値あるの?」

ほんと、そうなんですよね〜残念なことに。
文庫ですら、最近高いので、えー!?と思うことあります。(苦笑)

そして、Never Let Me Go、調べてくださったのですね。
ありがとうございます!!!
ピアノ曲の方は、かっこいいのですが、この本のイメージとは少し違うかな。
でも、シャーリー・ホーン、いいっ!!!
一番、ぴったりくるかもです。
さすが、LINさん♪


Posted by: pico at August 28, 2006 01:07 PM

あー、この本、、気になってたんですよ。
Mlle.Cさんもあさこさんも、みなさん、読んでらっしゃる!
やっぱり読もう。
SFなんですよね?
私、この頃、時代はSFなんじゃないかって
思ってたんですよー。
>本の重みを感じられないもの
ねー、「こんな本、単行本にする価値あるの?」
という本が多い、多い(毒舌ごめん 笑)
>Never Let Me Go
私もちょっとネットで試聴してみました。
こんなのはどう?
http://www.jazzshopping.com/titles/detail.php?tid=370
女性ピアニストです。
Voなら、シャーリー・ホーンとか。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1970048
ダイナ・ワシントンは、この歌には、ちょっと声に力がありすぎるかも。

Posted by: LIN at August 28, 2006 10:49 AM

●あさこさん
うわ〜こちらにまで、いらしてくださいましてありがとうございます。
いつもいつもロムってばかりですみません。
でも、頼りにしてます。
カズオ・イシグロなので、いつかは読もう!とは思っていたのですが、
あさこさんの“傑作”という言葉が、とても印象深くって!
そして、想像以上の感動!!!

ジュディ・ブリッジウォーターも架空なのですが、同曲があるといえど、カズオ・イシグロのNever let me goも、この小説の中で生きるものなのかもしれませんね。
聴いてもいないのに、しっかりと音がなっているのが不思議です。
すごいリアリティに脱帽です。

本当に、ありがとうございました!!!

Posted by: pico at August 24, 2006 11:53 AM

●Ryo
うん。
代表作は、「日の名残り」のことだよね。
すごくよかったよ。
こころの作品として、いまでも残ってる。
この本、もし、そっちになかったら、いってね。
送るから!!!

Posted by: pico at August 24, 2006 11:45 AM

●Mlle.Cさん
こちらこそ!
素敵な本の紹介ありがとうございます。
あさこさんにも、Mlle.Cさんにも、感謝感謝です。

ジュディ・ブリッジウォーター!
すごいリアリティありましたよね。
確かに、この曲は実在するけれど、カズオ・イシグロの中では、違う音がなり響いていたのかも?
上のリンク先で、視聴できるんですけど、小説の中のイメージとは違うんですよ。
Mlle.Cさんの“楽しみなような怖いような”そのお気持ち、お察しします。
小説の中だけに存在する音楽としておいておくのがよいのかもしれませんね。


Posted by: pico at August 24, 2006 11:44 AM

picoさん、こんばんは。
TBありがとうございました!リンクまで・・!

たしかにこの本、なんの知識もない状態で読んだ方がいいですよね。すごく良かった!と思うのですが、その良さを言うとこの小説の魅力を損なってしまいそうです。
自分で読んで、ぜひとも感じていただきたい1冊です。

わ、わたしもジュディ・ブリッジウォーター実在の歌手かと思っていました。違ったのですね・・!

Posted by: あさこ at August 23, 2006 11:49 PM

かなりこの本気になる…
紀伊国屋に売ってると良いなァ〜。
代表作もよさそうだよね?

Posted by: Ryo at August 23, 2006 02:44 AM

picoさんこんばんは。
TBありがとうございました。
ジュディ・ブリッジウォーター、最初、架空の歌手だと知らずに必死こいて探してしまいました(笑)。
そしたら英国人(多分)の方のサイトで「実在の歌手ではないので探さないように!」と書いてあるのを発見。
でも、この曲は実在するのですね。
聴くのが楽しみなような怖いような。

Posted by: Mlle C at August 22, 2006 11:37 PM
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